adobeの新製品「Real-time CDP」について

こんにちは、福岡オフィスの長野です。

今回は、「Adobe Summit 2021」で発表されたadobeの新製品について紹介します。

 

Adobe Summit はアドビが主催する年次カンファレンスで、今年は基調講演をはじめ、400以上のセッション、ライブトークなどが、4/27~4/293日間、オンラインで開催されました。その中で発表されたのが、新製品「Adobe Real-time Customer Data Platform(Real-time CDP)」です。

Cookieレス時代におけるアドビのマーケティングについての考え方や、今回の新製品・新機能について、まとめてみました。

 

  1. Cookieレス時代におけるアドビの戦略
  2. 「Real-Time CDP」の機能
  3. 「Customer Journey Analytics」とは
  4. 「Adobe Target」とは
  5. まとめ

 

1.Cookieレス時代におけるアドビの戦略 

サードパーティのCookie廃止の流れが強まる中で、アドビは今回、業界で初めてファーストパーティデータの活用を強調しました。

 

まずは、ファーストパーティ、サードパーティとは何かについて説明します。

 

そもそもCookieとは、Webサーバーからブラウザに送られる小さなテキストデータのことで、ユーザーの情報を一定の期間保存し、ユーザーが再度Webページを訪れた時に、サイト訪問回数や前回のサイト内での行動の情報をサーバーに渡します。

このcookieによって、ECサイトなどでログイン状態が維持できたり、一度途中で閉じた動画を停止した部分から再生したりすることができます。

このように、ブラウザを特定するために一時的に保存されるデータがcookieです。

 

その中に、ファーストパーティcookieとサードパーティcookieがあるのですが、簡単に説明すると、「今見ているサイトのCookie」がファーストパーティcookieで、「今見ていないサイトのCookie」がサードパーティcookieです。

 

Webサイトの事業主体者が発行するcookieはファーストパーティcookieであり、むしろサイトの閲覧に便利な機能であると言えます。

 

一方で、近年問題視され、規制の流れが強まっているのがサードパーティcookieです。アクセスしたWebサイトの事業主体者とは別の第三者が発行するcookieです。

皆さんも、軽く調べた情報が、広告としてページ内に表示されるようになった経験があると思います。このようなリターゲティング広告などに使用されているのが、サードパーティcookieです。ユーザーの閲覧履歴データが同意なく広告ビジネスに使われていたことになるため、プライバシー保護の観点から、規制の動きが強まっています。

 

このような状況の中で、アドビはファーストパーティ戦略を重視し、ファーストパーティデータ指向型のReal-Time CDPを発表しました。

  

2.「Real-Time CDP」の機能

Real-time CDPは、従来のAdobe CDPがアップデートされたもので、さまざまな種類のファーストパーティデータが集約され、企業のデータ活用のハブとして機能します。

 

アドビの公式サイトによると、Adobe CDPによって既知顧客データや匿名顧客データを問わず、あらゆる個人および企業のデータを単一のデータフォーマットで結合することができます。

その上で、関連するデータをつなぎ合わせ、プライバシーに配慮していながら、詳細なプロファイルを構築できるのがReal-time CDPです。

 

このプロファイリングデータを、マーケティング戦略に活用することができます。

さらにアドビは、Real-Time CDPに合わせて「Customer Journey Analytics」と「Adobe Target」の2つの機能を使用することを提案しています。

 

3.「Customer Journey Analytics」とは

カスタマージャーニーは、顧客が自社の商品を知り、購入するまでに辿る思考、行動などのプロセスのこと。

Customer Journey Analytics」では、オンラインとオフラインを横断して顧客データをリアルタイムで集約・分析し、カスタマージャーニー全体を視覚化することができます。ウェブだけでなく、リアルでの接点も分析してくれるので、マーケティング戦略の幅が、より広がりそうです。

 

4.「Adobe Target」とは

Adobe Target」は、Real-Time CDPで構築されたプロファイルのデータをもとに、機械学習を用いて見込み顧客をリアルタイムにスコアリングし、最適な顧客体験を自動で提供する機能です。

 

見込み客の確度の高さがスコアとして計測されれば、優先度をつけて確度の高いユーザーから、細かなフォローを入れる対応もできます。

さらに、「Adobe Target」によって計測されたスコアの違いと先ほどのカスタマージャーニーの分析を照らし合わせることで、より見込み客の確度をあげていくための戦略を立てることができそうです。

 

まとめ

今回はcookieレス時代に向けたアドビの戦略と、新商品の「Real-Time CDP」について紹介しました。

 

前回紹介したGA4にも新たに機械学習が取り入れられていましたが、サードパーティcookieが規制されていく中で、プライバシーに配慮しつつ、計測の幅を広げていくため、機械学習の導入を各社がとっており、今後もその動きは強まりそうだと思いました。

機械学習による予測値の精度も、データが蓄積されていく中でどんどん高まっていくと思いますので、マーケティング戦略も効果的に実施できそうです。

 

特に今回アドビが提案していた「Customer Journey Analytics」は、オンラインとオフラインを横断して計測ができます。アパレルなどの分野は特に、オンラインよりもオフラインの店舗の方が、タッチポイントとしては強いと思うので、両方を横断し計測できるのは、今後とても役立ちそうだと思いました。

 

【参照】

・「アドビ、業界初のファーストパーティデータ指向型 次世代Real-Time CDPを発表」https://www.adobe.com/jp/news-room/news/202104/20210428_adobe-announces-industry-first-cdp-architected-for-first-party-data.html

・「Real-time Customer Data Platform(リアルタイムCDP)」https://business.adobe.com/jp/products/real-time-customer-data-platform/RTCDP.html

・「Cookieレス時代のマーケティングを支える、アドビの製品戦略」https://markezine.jp/article/detail/36218

・「クッキー規制で激変! 広告業界関連まとめ記事」https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00190/00101

・「ITP対応やCookie規制の対策は? クッキーや広告規制の仕組み」 https://webtan.impress.co.jp/e/2020/10/16/37598

・サムネイル画像 Pch.vector - jp.freepik.com によって作成された business ベクトル

はじめまして、福岡オフィスの長野です。

今回は、「Google Analytics 4 プロパティ(GA4)」について、書いていこうと思います。

GA4とは、Googleが発表したアナリティクスの新しい規格のことで、2019年8月にベータ版として登場し、昨年10月に正式にリリースされました。 

4月に上場企業のwebサイトを調査した結果を見ると、3,757社中160社が導入済みで、導入率は4.26%。

まだまだ導入率は低く、ほとんどの企業が依然としてユニバーサルアナリティクスを使用しているようです。

しかし、1月の調査開始時から導入率を比べると、1月時点では2.51%でしたが、4月までの3ヵ月で4.26%まで増えています。

(参照元:SEM Technology「GA4の導入状況調査 2021年04月」https://sem-technology.info/blog/posts/00147/

これからもっと、GA4の使用率やニーズは高まっていくと思いますので、既存のユニバーサルアナリティクスとはどこが違うのか、GA4ではどんなことができるのかを、解説していきたいと思います。

 

  1. ユニバーサルアナリティクスとの違い① アプリとウェブを統合したデータ解析ができる
  2. ユニバーサルアナリティクスとの違い② 機械学習モデルを活用した「予測指標」を導入している
  3. ユニバーサルアナリティクスとの違い③ 測定機能が強化されている
  4. ユニバーサルアナリティクスとの違い④ プライバシー問題に対応している
  5. まとめ

 

1.アプリとウェブを統合したデータ解析ができる

ベータ版としてリリースされた際の旧称が「GoogleアナリティクスAppWebプロパティ」でしたが、その名のとおり、GA4では、アプリとウェブのデータを1つのレポートで見ることができます。

設定は、ウェブはこれまで同様GTMかタグの設置、アプリはfirebaseで設定可能です。

 

2.機械学習モデルを活用した「予測指標」を導入している

「機械学習モデルを活用した予測指標」と言われると難しく聞こえますが、要はユーザーの行動を予測できるようになりました!

例えば、「購入予測」「解約予測」「売上予測」といったもので、7日以内に購入する可能性が高い既存顧客といった予測ができるんです!

これまではコンバージョン数や、コンバージョンに至るまでの離脱率などを見ることはできましたが、今後のコンバージョンの予測や、コンバージョン後の解約予測まではわかりませんでした。そのためサイト改善の際は、PV数や離脱率などの数値から、ユーザーの行動を想像し、施策を実施することが多かったのではないかと思います。しかしこれからは、予測機能を活用することで、よりサイト改善の質を高めることができそうです!

 

3.測定機能が強化されている

ウェブだけではありますが、以下の6つを自動で計測できるようになりました!

  1. ページビュー数
  2. スクロール数
  3. 離脱クリック
  4. サイト内検索
  5. 動画エンゲージメント
  6. ファイルのダウンロード 

管理画面からオプションを有効にすることで、自動的に計測することができます。設定も簡単ですし、計測できる指標が増えることで、A/Bテストなども実施しやすくなるのではないかと思います。

(参照:「アナリティクス ヘルプ[GA4] 拡張計測機能」https://support.google.com/analytics/answer/9216061)

 

4.プライバシー問題に対応している

皆さんも、最近Cookieの使用に対して同意を求められるサイトが増えていると感じていませんか?GDPRCCPAといった海外のプライバシー保護についての法律があり、日本のサイトであっても厳しい罰則を受ける可能性があるためです。

アナリティクスもCookieを使用してセッションを測っていますが、Cookieが段階的に廃止されていく中で、既存のユニバーサルアナリティクスでは、今後データが欠落する、不足するという問題があります。

しかしGA4では、将来的にではありますが、Cookieの有無にかかわらず、機械学習に基づいてデータのギャップを埋めるような開発を行っていくようです。

(参照:「アナリティクス ヘルプ[GA4] 予測指標」https://support.google.com/analytics/answer/9846734)

 

 

まとめ

いかがでしたか?

これまで以上に便利になったGA4ですが、UIも変わっているので、いきなり導入するのは難しいかもしれません。

そのため、まずはGoogleも推奨しているように、既存のユニバーサルアナリティクスと並行稼働していくのが良いと思います。新しいGA4でどんな数値が取れるのか、テストしながら使い方に慣れていきましょう!