Writer: tsuda 更新日:2026/06/12
こんにちは、サービスプロデューサーの津田です。
この記事では、「Webアクセシビリティ未対応によって生じる機会損失」 について解説します。
「Webアクセシビリティ」とは、年齢や障害の有無、利用環境にかかわらず、誰もがWebサイトやサービスを問題なく使える状態にすることを指します。
たとえば、文字を大きくしても表示が崩れない、音声読み上げソフトで内容が伝わる、マウスが使えなくてもキーボードだけで操作できる、などです。
これらは「使える人の幅」を広げる取り組みであり、IT領域の難しい専門的な話というよりは、より多くのお客様を取りこぼさないための土台づくりです。
こう聞くと、多くの方は下記のように考えるのではないでしょうか。
「障害のあるごく一部の人への配慮だろう」
「やった方がいいのはわかるが、売上に直結しなさそうだ」
しかし、アクセシビリティが欠如したサイトは、獲得できるはずの顧客を取りこぼし、潜在顧客を競合へ流出させている可能性があります。これは福祉や倫理の話ではなく、機会損失の話なのです。
アクセシビリティの欠如が「機会損失」になる理由
なぜアクセシビリティの欠如が、機会損失になるのでしょうか。理由は大きく分けて3つあります。
- アクセシビリティ向上によってリーチできる市場が、無視できないほど大きくなってきている
- 超高齢社会の日本では、アクセシビリティ向上そのものが成長市場のニーズに応える一手となる
- 使いにくいサイトを放置すれば、ユーザーは何も言わずに離れていく
具体的に見ていきましょう。
アクセシビリティ対応によってリーチできる市場が、無視できないほど大きくなってきている
まず市場規模を見てみましょう。
WHOの推計によれば、世界の障害のある人々は約13億人。その家族や友人を含めた購買力・市場規模は、推定13兆ドル(日本円でおよそ2,000兆円)にのぼるとされています。
これは「一部の例外的なユーザー」と切り捨ててよい数字ではありません。むしろ、重要な経済セクターとして世界的に注目されている規模です。アクセシビリティを軽視するということは、この巨大な層へのリーチを自ら手放すことを意味します。
超高齢社会の日本では、アクセシビリティ向上そのものが成長市場のニーズに応える一手となる
次に高齢者市場です。日本は65歳以上が人口の約30%を占める超高齢社会です。そして健康寿命の延びや生活のデジタル化により、インターネットやWebを使う高齢者は年々増え続けています。
ここで重要なのは、「文字が小さいと読めない」「操作が複雑だとつまずく」といった高齢ユーザーが抱えるニーズは、まさにアクセシビリティ向上で応えることができるものだという点です。つまりアクセシビリティへの取り組みは、購買力を持つこの成長市場を取り込むための、そのまま有効な施策になります。
使いにくいサイトを放置すれば、ユーザーは何も言わずに離れていく
そして三つ目。使いにくい状態を放置すると、ユーザーは離れていきます。それも、「なぜ離れたか」は教えてくれません。
アクセシビリティが欠如したサイトを「お店」に例えて考えてみましょう。せっかく来てくれたお客様を入り口で追い返し、探している商品を棚の奥に隠し、買おうとしてもレジで会計させない——そんな状態です。現実の店舗でこんな対応をすれば、その客は二度と来ません。
しかも厄介なのは、Webではこれが、ユーザー自身も無自覚なうちに起き 、彼らはクレームも言わずに競合へ移ることです。「特に問題は出ていない」ように見えても、実際には毎日取りこぼしが積み上がっている。「アクセシビリティは後回しにしよう」と放置することは、獲得できたはずのユーザーを自ら手放していることになってしまうのです。
アクセシビリティを「売上」の問題として捉える
ここまで見てきたように、アクセシビリティ向上は、一部の人への配慮にとどまる施策ではありません。巨大な市場へのリーチ、成長する高齢者層の取り込み、そして取りこぼしの防止——どれも企業の売上と市場シェアに直結する経営課題です。
とはいえ、いきなり大きく投資する必要はありません。まず取るべき一手は、自社サイトの現状を把握すること。アクセシビリティ診断診断によって現状を評価・可視化することで、サイトの課題や改善の優先順位が見えてきます。
機会損失は、見えないところで積み上がっています。まずは現状を把握する ことから始めてみませんか。
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